2010年09月09日

コウキ1


字のごとく、紅色の木肌が印象的な紅木。発音は三味線では“コウキ”。二胡では“コウボク”と呼ぶ。
上記画像の通り、美しいトラ目上の木目(頻繁に“トチ”といわれる)が出るものがあり、経年と共に黒くなって、味わい深い風合いが備わる。密度が濃く、硬く、重い材質で、伸びやかで艶やかな音質で、日本の三味線においては、近年、最高級の棹材として定番の木材となった。弊社では沖縄三線のラインナップで、“凛音”“綾蝶”の棹に使用。

この紅木のことをいろいろと調べて行くと、とても興味深い事実が判明してくる。

実は、この紅木という呼称は、元々中国で使われる際は、赤〜黒い木材の総称のことである。
二胡等の高級木材として知られている“老紅木(ロウコウボク)”等は、インドシナ産の本紫檀を指し、古い高級家具などから切り崩したものを使用することが多いという。というのは、現在では伐採されつくしてしまったからだという。
老紅木の棹

※老紅木の棹(二胡)

一方で、三味線に使用される紅木(この場合“コウキ”)は、インド産のRedsander Woodを指し、中国では“檀香紫檀”と呼ばれる。

中国の木材業者が協議して定めた、狭義の意味での紅木というのは、
この Redsander Wood(=檀香紫檀=つまり日本の三味線でいう紅木〜コウキ)・シタン・カリン・タガヤサン(鉄刀木)・アフリカシタンの5種としている。つまり、現在の中国では、狭義の意味においても、日本の三味線で使用される紅木・紫檀・花梨の3種も全て紅木ということになるらしい(笑)

非常にややこしいので、紫檀や花梨についてもいろいろと調べてみたが、これらの木材は、実は生物学的に非常に近しい“親戚”にあたるようで、どの木材もマメ科シタン属に属する植物。なので生物学的には、ざっくり言ってしまえば、どれもシタンの仲間にあたるので、呼称でも、“紫檀”・“シタン”という言葉が使われる確率が高くなるということだろう。

さて、このインド産のRedsander Wood=中国でいうところの檀香紫檀=つまりは日本でいう紅木(コウキ)は、いわゆるワシントン条約(CITES)によって指定され、国際取引に規制がある。インド国内においても厳しい規制が設けられているという。実は、私の周辺にも、紅木の取引に関わる仲間がいらっしゃるが、その調達には本当に苦労していらっしゃるのが見て取れる。

これらの規制の上に、さらに、近年では中国の高級家具市場の需要肥大と価格高騰により、日本に入ってくる紅木はほぼ供給が止まった状態であるという。このことは、今後の三味線業界にとっては間違いなく大きな影響が出てくるので、新しい棹材の開発が急がれるところではないだろうか。
弊社も大事に活用していきたいと考えている。

カリン・コウキ・スネークウッド

※棹材3種。下から花梨(古い細棹)・紅木(三線)・スネークウッド(三線)。今後は、このスネークウッドが多用されるようになるのか。紅木よりもさらに細かい木目、緻密な木質で、高級な杖・ステッキ等に使用されている。

※参考文献
Wikipedia http://bit.ly/9YNwx1
東亜楽器オフィシャルサイト〜材料の話 第1回 三味線・琴の原材料が危ない!
旧トーア音楽工房サイト 〜 材料表示について

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2010年06月24日

今回のテーマは、乳袋(チブクロ)。なんとも艶っぽい言葉だが、三線にも三味線にも存在する部位。ネット上での辞書によると、元々の意味は、そのまんま『乳房』を指すようである。“乳脹”(チブクラ)ということもある。
三線・三味線の乳袋は、下画像の部分。
長唄の乳袋
長唄の乳袋。
三線の乳袋
三線の乳袋。
上駒、もしくは唄口の下側の、左右に膨らんだ部分を指す。
文字通り、乳房のように膨らんでいるから、このような名称になったのであろうが、それにしても、非常にストレートな名前で思わずドキっとする言葉である。

しかしながら、この部分は、三線・三味線において、天神(ヘッド)部分のバランスも含め、楽器としての見た目のデザイン性を考えたときに、とても重要な要素となっていると思われる。

三線と三味線とで、この乳袋の形状が異なるのも面白いところ。
実際に長さを計測してみると、長唄三味線の乳袋は、上駒から計測すると約3cm強。一方三線のは、唄口から計測すると4cm強あり、棹が長唄三味線より短い三線の方が若干長めの乳袋を持っており、いうなれば“巨乳”である。

三線の長めの乳袋は、その勘所(カンドコロ・チブドコロ)にも影響している。開放弦との関係でみると、三線では最初に押絃する勘所(乙・上・甲)は西洋音階でいうところの、“1音”上にあたる。
一方、日本の三味線での最初の押弦する勘所(三味線文化譜でいうところの1のツボ)は、開放弦から半音上となる。

三線を使用する沖縄民謡にはこの1音上の勘所を多用するため、比較的“明るめ”な“メジャー音階”が多いので、その音楽性に大きく反映されている。ごく稀に、三味線のように開放弦の半音上の音階を使用する時があり、その場合は、乳袋の中にある勘所を押さえることになり、テクニックが必要となる。

一方、日本の三味線では、半音上のツボを多用され、独特な日本の音楽の、“悲しげな”“マイナー音階”の音楽が形成された。

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2010年03月11日

さわりUP


さて、今日は“さわり”について。
このさわりは三線にはなく、本土の三味線には必ずある装置。

写真のように、通常三味線というのは、上駒(三線でいうところの唄口、ギターでいうナット)から、1の糸(一番太い&低い糸)が外されている。これは、その先にある谷→山があり、この山の部分に糸が微妙に“触る”ように作られている。ここの部分をさわりという。このさわりにより、三味線の音色は、“ビヨーーーン”と共鳴した音になる。下の2の糸、3の糸を弾いても1の糸が微妙に共鳴していることで、三味線独特の音色が確立されることになる。ただし、このさわりは糸のテンション、すなわち調弦によって左右されてしまう。あまり、糸を張りすぎるとさわりが効かなくなる。

そのため、民謡等で使用される三味線は、歌い手の声の高低に応じて、三味線の調弦を変化させる必要があるため、糸のテンションの高低に影響を受けずに発明されたのが東さわり(あずまさわり)である。
東さわり表


上記の画像は津軽三味線の東さわり。上駒から1の糸が外されていないが、その代わりに、その先に四角い突起があり、これが糸に触って共鳴する。

東さわり裏


裏側には、このようにネジがあって、このネジを調整することにより、突起の高さを可変させることが出来る。東さわりについては、また別項にて。

このさわりのありなしが、楽器の構造的にはほとんど同じにも関わらず、三線と三味線の決定的な音色の違いとなっている。

このさわりは、1の糸の音から完全8度(オクターブ上)、完全4度(ド→ファ)、完全5度(ド→ソ)で共鳴する。つまり、オクターブなら、3の糸、4度なら本調子の2の糸、5度なら2上げの2の糸の音である。このことを利用して、津軽の演奏家等は、さわりの効き具合を聴きながら調弦を仕上げていくという技術もあるという。

この独特な“ビヨーーーーーーン”というさわりの音。
そもそも、三味線の祖先である三線には付いていなかったものが、なぜ、本土に入ってきてから付いてしまったのか?これには諸説が、続きを読む

shamipedia at 21:40コメント(0)トラックバック(0)  mixiチェック
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